今泉力哉監督の最新作『愛がなんだ』
2019年4月19日に公開されるとたちまちヒットしましたね。
私も映画館で観てきましたが、とても印象に残る映画でした。
この映画、女性が共感を得るという口コミでヒットしました。私が観に行ったときもお客さんの9割が女性でした。
なのでこの映画の感想のほとんどは女性目線です。
では男性はこの映画を観てどう感じるのか。少し考えてみました。
登場人物に感情移入してしまっている女性が多い
『愛がなんだ』は直木賞作家・角田光代の恋愛小説が原作です。
監督・脚本は今泉力哉。
岸井ゆきの演じる主人公テルコの片思いを描いた作品です。
猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない・・・。
映画『愛がなんだ』公式サイトより引用
この映画、主人公テルコの片思いがぶっ飛んでて目立ってますが、他の登場人物もなかなか個性的です。
テルコ、
マモちゃん、
テルコの友達の葉子、
葉子を追いかけるナカハラ、
マモちゃんがあこがれるすみれ…
彼らの関係はあまりにもリアルで、
ヒリヒリして、恥ずかしくて、
でも、どうしようもなく好き…
この映画には、
恋のすべてが詰まっています。映画『愛がなんだ』公式サイトより引用
田中マモル(成田凌)、葉子(深川麻衣)、ナカハラ(若葉竜也)
それぞれが複雑な思いを抱いています。
この映画を観た方の多くは、この4人の誰か(もしくは複数)に感情移入してしまっていたと思います。
おそらく男性はあまり感情移入できない
この映画の客層がほぼ女性ということが表すように感情移入している観客の多くは女性です。
逆に男性はあまり感情移入できないように思います。
というのも4人のような経験をする男性は少ないからです。
テルコとマモルのような関係は世の中に沢山あるでしょうが、立場が逆のパターンはあまりありません。テルコ側の立場が男性でマモル側の立場が女性、つまり男性→女性という向きの片思いがある彼氏彼女じゃない関係ですね。なので、男性はテルコに自分を重ねられないのです。
葉子とナカハラの関係はどうでしょうか。
テルコとマモルとはまた違う種類の関係性ですが、これも男性→女性という片思いの向きでの彼氏彼女じゃない関係です。やはりこういうケースは少ないでしょう。むしろこの映画を観た男性の多くはナカハラを羨ましく思うのではないでしょうか。
では、マモルとすみれ(江口のりこ)の関係から男性がマモルに感情移入することはあるのでしょうか。
これも少ないと思います。ありがちな関係ではありますが、すみれがかなりクセのある年上女性に描かれているため、どうしても作り話として見てしまうからです。
自分の中のマモル的な部分に気づかされて心えぐられる
『愛がなんだ』を観ても男性は感情移入しないでしょうが、代わりに罪悪感を覚える男性が多いのではないかと思っています。
「あっ、俺も同じようなことをしていたかも…」
マモルの言動を見て、そう思う男性はきっと大勢いるはずです。
映画を観た多くの女性がテルコ視点で「こんな男いたな~」とか「同じような経験した」と思うということは、視点を変えればそれだけマモルのような男が現実に存在したのだということですからね。
筆者も心当たりがあったので、映画を観てる途中で「あ~俺もマモルと同じようなことしたかも」と思った瞬間に完全に心をえぐられました。おかげで見終わった後に残ったのは罪悪感が大部分を占めていました。
同じような男性はきっとたくさんいると思います。
何も感じない男は「本当に誠実な男」「ダメ男」「クズ男」のいずれか
中には『愛がなんだ』を観て何も感じない男性もいると思います。
先ほど言ったとおり、自分の中のマモル的な部分に気づかされて罪悪感を覚える男性は一定数います。
つまり何も感じない男性は、
自分の中のマモル的な部分に気づかない
もしくは、
自分の中のマモル的な部分に気づいても罪悪感がない
このどちらかなわけです。
「自分の中のマモル的な部分に気づかない」男性はどういう人でしょうか。
まず考えられるのは「マモル的な部分がない男性」というケースですね。マモルがテルコに対してやっているようなことをしていない男性です。こういう男性は本当に誠実な男性である可能性が高いでしょう。単に女性に全くモテないだけ、という場合もあるでしょうが、、、
続いて考えらえるのは「マモル的な部分があるがそのことに気づかない男性」です。自分がマモルと同じようなことをしていながらそれに気づいていないわけですから、なかなかダメな男ですね。
次に「自分の中のマモル的な部分に気づいても罪悪感がない」男性です。
これは言わずもがなですね。クズ男でしょう。
「好きな相手と一緒に居られるんだから自分は良いことをしている」とか思っているかもしれません。
- マモル的な部分がない男性
⇒誠実な男 - マモル的な部分があるがそのことに気づかない男性
⇒ダメ男 - 自分の中のマモル的な部分に気づいても罪悪感がない男性
⇒クズ男
カップルで一緒に見たときは彼氏の反応を見てみよう
『愛がなんだ』はダメな恋愛をしてきた人に響く映画です。一般的にはあまりカップルでの観る類の映画ではないでしょう。実際に劇場でもカップルで見に来ている客はほんの一握りでした。
なので、女性グループで観るか一人で観るかのどちらかが王道だと思います。
しかし、映画を観た後の彼氏の反応を見てみるのもそれはそれで面白いと思うので、敢えてカップルで観るのもありかもしれません。
DVDレンタルや配信が始まったら自宅で観ることができるようになります。
そうなれば何度でも観れるので、最初は一人で観てその後に彼氏と一緒に観るということもできますね。
彼氏の反応からマモル的な側面が見えるかもしれませんよ。
『愛がなんだ』すごく良い映画なのでぜひ観てみてくださいね。